「子育て」と言う行為は、親だけの責任では無いということが、この10年程で、ようやく社会全体で共有されるようになりました。身内以外からの支援が必要だ、地域ぐるみで子育て支援を、という雰囲気も拡がってきました。行政側の「つどいのひろば」をはじめとする様々な施策が功を奏し、随分、親が乳幼児を連れて出かける場所が増加すると共に、子育て支援のプログラムも増加してきました。
しかし、乳幼児に対する虐待のニュースは相変わらず続いています。最近になり、虐待とは無縁であっても、泣く我が子を受け止められない親、子育てが不安で不安で仕方ない親、自分の手だけで我が子を抱けない親(抱っこひもがないと不安)など、さまざまな問題を抱える親たちの現状を見聞きすることが多い私たちです。
このような現状の原因を考える時、子育ての方法が分からない親が増えていることが理由に挙げられるでしょう。子どもの頃から、乳幼児のお世話をしたこともなく、一緒に遊ぶ経験もないまま、我が子を育てることになってしまった親たち。不安は当然です。また、子育ての方法を世代から世代に伝えてこなかった社会、伝統として親が受け継いできた日本の子育ての文化を、母から受け継がないまま子育てしている母親が多いことも一因であるとの考えに至りました。
わたしたちは、この現状に立て直していく必要性を感じ、次の2点から、これらの問題を解決に導きたいと考えています。
(1)日本で伝統的に行われていた子育ての文化を掘り下げ、見直し、親たちにその良さを伝える。
(2)今の社会にマッチした子育ての在り方をまとめ、現状に対応できる子育て支援者を育成する。
メンバー
代表 | 朱まり子 |
副代表 | 嶋野珠生 |
事務局 | 迫きよみ |
監事 | 吉田秀子 |
会員 | 青柳恵子 |
秋田裕子 | |
奥真木 | |
谷口英子 | |
土江礼子 | |
中村有紀子 | |
浜崎由紀 | |
三好英 |
つたえたいこと その1
今の親に示そう 日本で伝わる子育ての文化の良さ
子育ての親は、かなりの人が、イライラした毎日を過ごしています。親の心に余裕を生み出すために、どんなことで、手を差し伸べることが出来るのでしょうか。 そう考えた時、過去の子育てと比較して欠落しているものは何なのか、考えてみることにしました。廃れたものは、何故廃れてしまったのか、本当にそれでよかったのかを含めて考えてみたいと考えています。 わたしたちは、伝統的に引き継がれてきた子育て文化の良さを、そのままで伝承するのではなく、科学的に解明したり、現代人の生活にマッチする新しい子育ての考え方を取り入れたりして、その良さを分かりやすく噛み砕き、現代を生きる子育て中の親に正確に伝えていきたいと、考えています。
つたえたいこと その2
今の社会にマッチした子育ての在り方 現状に対応できる子育て支援
子育てをする、一人ひとりの親の事情は違います。また、地域性もあります。その個人差・地域差を認め、大事にしながらも、現代の親の持つ課題を解決できるような支援者を養成することこそが、解決の近道だと考えています。そこで、地域や対象が違っても活用できるような汎用性の高い子育て支援プログラムを構築し、子育てが辛いものではないと思えるような環境を整えたいと願っています。 当初は、親にむけての分かりやすいパンフレットの配布を考えました。傍にあって、いつでも読み返せるものは心の支えになります。しかし、孤独の中で字面を一人で追うだけで乗り越えられるものでは無いとの結論に至りました。母さんたちには、支援者から自分の子どもに即した助言を貰うことで、見守られながら生きている・子育てをしている実感を持つのでしょう。そうすることによって、安心感を持って、子育てが出来る環境に近づくのではないかと考えます。 そこで、現代の日本の子育て文化に合ったプログラムの完成を目指し、2014年度は、前年度(2013年度)の事業実施によって得た、これだけは外せないエッセンスをまとめ、プログラム化し、支援者に向けて学ぶ場を設定していきます。 子育てをしているお母さんたちは、この講座を受講し、幅広知識に裏打ちされた支援者と交わることで、親たち自らの子育て力の底上げを目指します。 ゆるやかな、感性を大切にした子育ては喜びを伴い、複雑な現代の子育て支援情報にがんじがらめになっている親の気持ちを解放することに役立つと共に、虐待予防に大きな役割を果たすと期待できるでしょう。乳幼児期の虐待は、誰にでも起こり得ることであり、予防こそが最大の力になると、私たちは常に考えています
メンバー プロフィール
青柳 恵子(あおやぎ けいこ)
大学進学を機に京都へ。橘大学児童教育学科幼児コースを卒業し、保育士資格、幼稚園教諭取得。後に“安心感の輪子育てプログラム”ファシリテーター、社会福祉士を取得。現在は一歳の子どもを育てながら京都市内で子育て支援に関する相談員に就いている。
迫 きよみ(さこ きよみ)
1962年、京都市内で生まれ。高校卒業後、重度知的障害者施設で勤務をしながら、保育専門学校(夜間部)へ。11年間勤務後、退職し結婚。34歳で長男を出産。これを機に、子育てサークルの運営、京都の子育てサークルのネットワークへの関わりを得て、1999年「子育てを楽しむ会」を設立、2008年にNPO法人理事長。2012年、子育ての文化研究所の設立に関わり、現在は事務局長。
嶋野 珠生(しまの たまお)
富山市出身、お茶の水女子大学大学院修了。
臨床心理士、公認心理師。京都で子育て、保育、教育の現場で子どもと親の心理相談に長らく携わり、現在は富山短期大学幼児教育学科准教授。“安心感の輪子育てプログラム”ファシリテーター。子育て中の保護者支援を専門とする。
朱 まり子(しゅ まりこ・大鳥居まり子)
京都市生まれ。京都女子大大学院(児童文化学)、幼稚園教諭を経て、NPO法人山科醍醐こどものひろば初代理事長、大学・短期大学で非常勤講師。
現在は、子育ての文化研究所代表。“安心感の輪子育てプログラム”ファシリテーター。託児・絵本・おもちゃ・子育て等の講師。小学生と地域たんけんを行っている。
谷口 英子(たにぐち えいこ)
和歌山県出身。佛教大学社会学部社会福祉学科卒業。京都府舞鶴市在住。社会福祉士。保育士。
子育てをキーワードにしたまちづくり、当事者主体の子育て支援に取り組む。
NPO法人まちづくりサポートクラブ副代表理事。NPO法人まるっと丹育副代表理事。
一般社団法人日本ファミリーナビゲーター協会副代表理事。舞鶴市社会教育委員。
土江 礼子(つちえ あやこ)
枚方市出身。大阪市立大学大学院修了。宇治市在住。臨床心理士。公認心理士。
学校、保健センター、保育所などで子どものこころと育ちにかかわる非常勤心理職として勤務。“安心感の輪子育てプログラム”ファシリテーター。“宇治に冒険遊び場つくろう会”代表。
中村 有紀子(なかむら ゆきこ)
京丹後市出身、高知大学人文学部心理学科専修、 子育ての文化研究所スタッフ
長女出産前に母乳育児サークルに出会い、機関紙「おっぱいだより」の編集などにかかわる。3人の子育ての後、子育ての相談電話活動や、NPO法人京都子育てネットワーク会員、ママ講師としても登録。
浜崎 由紀(はまさき ゆき)
大阪府茨木市出身。京都女子大学大学院修了(児童学修士)。京都市在住。 NPO法人山科醍醐こどものひろば「げんきスポット0-3」2代目施設長を経て、現在は、滋賀短期大学幼児教育保育学科講師。大学内の子育て支援「乳幼児総合研究所」所長を務める。子育ての文化研究所スタッフ。“安心感の輪子育てプログラム”ファシリテーター。
三好 英(みよし えい)
和歌山県橋本市生まれ、八幡市在住。(元)NPO法人京都八幡こどものひろば理事。
現在は、NPO法人非常勤職員、小さな子どもとママのゆったりスペース「ゆるりば」主宰、フリーで抱っこの仕方・ベビーヨガセラピー・ハグモミ等の講師。子育ての文化研究所創設時よりメンバーとして赤ちゃんとの生活について学んでいる。