子育て支援者「15の学び」 講座日程レポート
(14)【舞鶴】1/15 
「子育ての文化を伝えるツールを考える」 朱まり子

15のまなび 第14・15回
「子育ての文化を歴史的に探る」
講師:朱 まりこ さん(子育ての文化研究所 代表)
1月15日(日)舞鶴会場  1月29日(日)宇治会場 13:30~16:30

とうとう2016年度最後の15のまなびとなった今回は、このまなびの企画者でもある子育ての文化研究所代表の朱まり子さんにお話を頂きました。最後と言う事で、参加者も顔なじみになってきましたが、中には初めて参加された方も居られ、新しい意見も頂けました。今回は、子育ての文化を歴史的に探るというテーマに沿って、昨年末に発刊した「AKAGO」を作るに至った経緯、AKGO①を実際手に取った感想、意見、課題の話し合い、という3部構成でした。

まず「歴史的に探る」とは、「人の歩んできた道筋を辿る、振り返る」という事なのでしょう。朱さんは「振り返ると置き忘れていたものに気付く、子育ての文化の中で置き忘れたものを伝えたい」と最初に話されました。また、未来のために原因を探るには過去を振り返る、というお話もありました。つまり、歴史に戻り振り返る事は、過去を見ながら未来をどう良くしていくかを考える工程なのでしょう。振り返った事で得た気付きは、新たな視点となります。一度気付くと今まで見えて来なかった事が見えるようになります。そういった事から「歴史的に探る」大切さが伺えます。今回は子育ての文化を振り返る上で「おんぶとだっこ」「がらがらおもちゃ」という二つの事から見ていきました。
おんぶとだっこについて、中世、明治、昭和、と、どの時代でも着物の中におんぶされている、母親以外におんぶされているという共通点がありました。また、明治幕末期の外国人の目から見た日本の絵や写真には誰かにおんぶされているものが多く、それだけだっこやおんぶは当たり前のありふれた光景であり、日本の日常を象徴するものだったのでしょう。つまり、日本の子どもは昔から色んな人におんぶされていたと言う事。それは、母親が一人で子育てをしていたわけではなく、父、祖父母、きょうだいみんなで子育てをしていたと言う事です。みんなが子育てに関わっているからこそ、対処法がわかり、子育てをしんどいを思わなかったそうです。授乳という視点に少し変えて見ても、「乳奉公」「貰い乳」という言葉があるくらい子育てにはたくさんの人が関わっていました。つまり、それだけたくさんの人が子どもを育てていた、母親だけが子育てをしなくても良かったのです。そのような状況を振り返ると、今の子育ては非常に厳しいと言葉にされていました。
がらがらおもちゃについて、素材と機能の変還を見ていくと、戦前は金属やセルロイドと言う素材が主でした。けれど、セルロイドは熱に弱いということから戦後は下火に。替わりに塩化ビニール、ポリエチレンなどの素材が出てきました。しかし素材の変化は機能の変化に繋がりました。がらがらおもちゃは打楽器という事だけでなく、以前は音を吹く事で鳴らす笛機能もありました。現在は「鳴らす+吹く」という複合おもちゃは殆ど無くなり、木製からセルロイドへの変化の中で消えていったものです。

次に第2部「AKAGO」を通して伝えたい事、発刊に至った思いです。今、伝えられてきたはずの子育てが伝わらない・・・と言われる事も多く、その背景には親世代が子どもに「今の子育ては昔と違うから・・・」と口を噤み伝え無くなった事が挙げられます。しかし、実際はそれほど変わった事はありません。つまり『子育ての積み重ね=子育ての文化は、意識しないと伝わらない』という事。その危機感から子育て支援者として子育ての文化を伝えられるツール作りに発展。それならば、“先人の知恵と新たな知恵をミックスしたもの”“手にとってもらいやすいもの”“頑張っている親を労い応援し底上げ出来るもの”“知らないから不安になるけどママも0年生だから知らなくて当たり前。知らないから知ってね、と不安に寄り添ったもの”にしたいというたくさんの思いからAKAGOの編集、発刊となりました。
AKGO①の中には「親子で絵本のある生活を楽しもう」というページがあります。それは、読み語りは読んで終わりではなく、生活に繋げて欲しいと言う思いがあります。文を読んで意味を理解するだけが読み語りではなく、内容を理解しなくても一緒に同じ絵を見る時間を楽しむ、ということを大切にする。更には遊びの場から派生して子育てに役立つ「1粒で2度美味しい」ものを選ぶと良いとの事。その例として「1はゴリラ」「わたし」という絵本を紹介して下さいました。人によって「1粒で2度美味しい」と感じるものは違うでしょう。絵本だけでなく、おもちゃやお子さんに関わる事で何かを選んだ時に、「こういう思いがあって選んだ」「こういう視点から選んだ」と言えることが大切との事。それは子どもにどう育ってほしいかという、生きることへの“願い”を持つ事になります。最後に、支援者としてなら、自分の支援の現場に「何を伝えたくて物を置くのか」「願いを持って支援してほしい」と話して下さいました。

第3部はそれぞれの立場から特に課題だと思う事に焦点を当て意見を頂きました。編集側では頭が固くなって気付かなかったことがたくさん出てきました。今回頂いた意見を基に改編、続編に繋げられたらと思います。